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「元気100歳への挑戦」90歳の医師「令和の養生訓」について
元気100倶楽部会長 原寛・原土井病院理事長 90歳
文責 西田和也
昭和7年生まれ。福岡高、九大医学部卒、九大精神神神経科入局、医学博士号取得。昭和42年原土井病院開設理事長、九大大学白菊会理事長、顧問。
「元気100俱楽部」の基本理念は、105歳の長寿を全うした聖路加病院の日野原重明氏の教えと実践力、それと江戸時代の福岡藩儒学者・貝原益軒が書いた「養生訓」である。日野原氏が全国的に展開した老人を対象としたのに、原さんは九州支部長となり、日野原氏亡き後「元気100俱楽部」として活動を続けている。
講演では原氏は、まず「60歳以降の健康状態」について、「日常生活に支障なし」で「70歳後半に降下するグループ」が女性が87.9%、男性79・1%。「買い物、乗り物利用など一部日常に支障」で、「70歳前に急降下するグループ」が女性12・1%、男性19・0%。100歳まで「支障なし」では10・9%。病気の場合、先進国に共通しているのは脳溢血、心筋梗塞が多いという。
平均年齢と健康年齢があり、日本人は男性が平均81・41歳、健康72・68歳、女性が平均87・45歳、健康75・38歳で、男性の場合脳卒中に続いて認知症が病気の大半となっている。それらがどうして起こるかといえば、小さな原因で「メタボリックシンドローム」の生活習慣が挙げられる。
生活習慣では30歳での煙草、飲食での肥満、40歳のインスリン、50歳の高血圧、60歳において糖尿病らがあり、この会の目標は老化を予防し、健康と食事に注意を払うことにしている。老化は血管から始まるが、血管の約99%は毛細血管どある。「何もしないと毛細血管は減る一方で、そこから老化が進む」。「血管を保持するには1日3食のバランスある食事も、過剰な糖質+タンパク質には気をつける。ただ筋肉をつけるにはより多くのタンパク質を摂取しなければならない」。「脳の老化予防には学ぶことが重要である。1日30分の『有酸素運動』は効果がある」、など語りながら、原さんは長時間のデスクワークにあっても、時折、中腰になるなど体を動かす手本を自らの行動で指示した。
原寛さんをはじめ原三信の一族は、福岡市内の各地域に大きな病院を経営している。初代の原三信は黒田長政が福岡城主となった後、藩医として医療活動に従事してからだから400年以上になる。6代三信がオランダ外科術を学び、日本最初の解剖書訳本を残している。
杉田玄白や前野良沢はオランダ語の解剖書『ターヘル・アナトミア』を翻訳し、『解体新書』を刊行するのは安永元(1774)年だから、6代原三信元弘はそれより早い1684ー1687、長崎出島で西洋医学を学んだ時、ドイツ人レメリンの人体解剖書『小宇宙鑑』の翻訳書の写本を作成している。
原寛さんは現在90歳。1日1万歩、階段は2段ずつあけて上り、背筋はまっすぐ伸ばして歩く。百百歳まで元気に活動するグループの先頭にいる。